ブルーシート 演出:飴屋法水 1

2013年1月26日
場所:福島県立いわき総合高等学校

この公演はいわき総合学校の総合学科の生徒が演劇の授業の総決算として2年時に行うもので
毎年プロの演出家を招いて行っているものらしい。
今年は飴屋法水さんを招き26日と27日、たった2日間の公演が行われた。

公演場所は学校の校庭だった。
毛布やホッカイロが配られたけど、それでもやっぱり寒かった。
しかし校庭でなければ見られない光景、体験があった。

内容は信じられないほど素晴らしかった。
それから、これが記録されずにたった2日の公演で消えてしまうのがもったいないと思った。
飴屋さんは自分の作品を映像として残したりすることに興味がないらしいのだけど
今回も記録してないんだろうか。

まず芝居が始まる前に、校長先生の話があり
いわきのこととか地震のこと、その影響で校舎が使えなくなったこと
客席から右手に見える山が崩れ、当時はそこがブルーシートで覆われていたこと等が説明された。
僕は校長先生の話が始まった時、校庭で校長先生の話を聞くというシチュエーションが朝礼とか運動会みたいで
これから芝居が始まるにしては事務的で面白くない印象を受けたのだが、途中から一気に引きこまれた。
というのも校長先生が話している最中、女子生徒が一人近づいてきて、にやにやしながら校長先生のまわりをウロウロし始めたからだ。
その生徒は校長の話が終わるまでずっとにやにやウロウロしており、面白くてたまらなかった。
校長先生の話が芝居でもなく本当に校長先生の話だけに、その非日常的な光景の面白さが際立っていた。
校長先生の話が終わり女子生徒一人が残り、その子の携帯に電話がかかってくるところから芝居が始まった。

役者は全部で10人。男子3人、女子7人。
普通の高校生達になんでこんなことが出来るんだろうと不思議なくらいに
それぞれとてもよくキャラが立っていて魅力的で面白かった。
たぶん本人の素の部分を活かし、魅力を引き出すような
脚本・演出になっているということなのだと思うが、それにしても奇跡的だと思った。

最初の方に全員が登場して10人が横に並んで点呼をとるシーンがあった。
変な髪型をした3枚目の男子が最後に並んで、10,11!(変な言い方)って言って
みんなが「は〜?」みたいなリアクションをするのを何度か繰り返すんだけど
途中から一人ずつ抜けていき、点呼が歯抜けになっていく。このあたりは音楽が大きくかかっており
映画でいうオープニングクレジットを人間でやってるような感じでものすごくかっこよかった。

つづく